ガイド
気象庁オープンデータ完全ガイド|JSON配信・種類・取得方法
気象庁が公開しているデータは膨大です。アメダスのリアルタイム観測値、過去100年の月別気温、桜開花日、台風経路、数値予報GPV——どこに何があり、どう取得し、どう引用すればいいのかをまとめます。気象データを使ったブログ・研究・自由研究を始める方向けの実践ガイドです。
気象庁オープンデータの全体像
気象庁の公開データは、大きく次の3カテゴリに分かれます。
1. 観測データ
- アメダス気象観測データ: 全国約1300地点の降水量・気温・風速・積雪深・湿度(10分単位)
- 気象衛星データ: ひまわり標準データ、高分解能雲情報
- 波浪モデルGPVデータ: 海域の波浪情報
- 生物季節観測: 桜・梅雨・初雪などの観測記録
2. 予測・予報データ
- 数値予報GPV: グリッド点値による気象予測データ
- 確率予測資料: 2週間気温予報、1か月予報気温
- 再予報データ: 過去の予測のアーカイブ
3. 防災・その他データ
- 気象庁防災情報XML電文: 警報・注意報・地震・火山情報
- 洪水警報危険度分布(キキクル)
- 予報区GISデータ: シェープファイル形式
- 多言語辞書データ
- 観測所位置データ
主要な取得方法
方法1: 過去の気象データ検索(Web UI)
個別の観測地点・期間を指定して、月別・年別・日別の気象データを表示できます。手動でブラウザから確認するのに最適です。
URL: https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
方法2: 過去の気象データ・ダウンロード(CSV)
取得したい地点・期間・データ種類をWebフォームで選択し、CSVファイルとしてダウンロードできます。自動化ツール等による過度のアクセスは控えるよう気象庁から要請されているため、研究用途等で大量取得する場合は注意が必要です。
URL: https://www.data.jma.go.jp/risk/obsdl/
方法3: 天気予報JSON(API的利用)
2021年の気象庁Webサイトリニューアル以降、天気予報情報がJSON形式で取得できるようになりました。APIキー・登録不要で、フリーで利用できます。
例: 東京の予報JSON
https://www.jma.go.jp/bosai/forecast/data/forecast/130000.json
方法4: 気象データ高度利用ポータルサイト
業務・研究用途向けに、まとまったデータセットを取得するための窓口です。XML電文、数値予報GPVなど、より高度なデータはこちらから案内されています。
URL: https://www.data.jma.go.jp/developer/
データ形式の整理
| 形式 | 主な用途 | 取得難易度 |
|---|---|---|
| CSV | 過去気象データ、表計算ソフトでの集計 | 低 |
| JSON | 天気予報、Webアプリでの利用 | 低 |
| XML | 気象庁防災情報XML電文 | 中 |
| シェープファイル | 予報区GISデータ、地図ソフトでの利用 | 中 |
| GPV/GRIB2 | 数値予報、専門的気象解析 | 高 |
引用・出典表記のマナー
気象庁のデータを記事や論文・プレゼン資料で使用する際は、出典の明記が必要です。気象庁のサイトでは「政府標準利用規約に準じた公開」とされており、出典明記により誰でも利用できます。
当サイトでは以下の表記を採用しています。
出典: 気象庁「過去の気象データ検索」
個別のデータページがある場合は、トップページではなくそのデータページのURLを明記するのが親切です。読者が出典を辿って再検証できることが、データを使った記事の信頼性の土台になります。
利用上の留意事項
- サーバーメンテナンス等により、配信が停止・遅延する場合がある
- 過去データの一括ダウンロードは、自動化ツールでの過度なアクセスを控えるよう要請されている
- 速報値と確定値が別れているデータがある(梅雨入り・梅雨明けなど)。記事では確定値を使う方が安全
- 商用利用の可否について不明な場合は、気象庁「利用上の留意事項」PDFを確認する
初心者向け実例 — 「自宅周辺の真夏日日数を10年分取る」手順
抽象的な説明だけでは使いこなしにくいので、具体的な作業手順を1例だけ紹介します。「東京の真夏日年間日数を直近10年分、Excelで集計したい」というケースです。
- 過去の気象データ・ダウンロード にアクセス
- 「地点を選ぶ」で「東京都 → 東京」を選択
- 「項目を選ぶ」で「年・月ごとの平年値を表示」のチェックを外し、「日別値」を選択。続いて「気温」→「日最高気温の平均」「日最高気温の最高値」をチェック
- 「期間を選ぶ」で、開始年月日と終了年月日を10年分指定(例: 2015年1月1日〜2024年12月31日)
- 「CSVファイルをダウンロード」ボタンをクリック
- ダウンロードしたCSVをExcelで開き、「日最高気温」が30℃以上の日を年ごとにCOUNTIF関数で集計
同じ手順で「猛暑日(35℃以上)」「日降水量50mm以上」「最深積雪」などに置き換えれば、さまざまな指標で長期トレンドが取れます。
よくあるエラー・つまずきポイント
エラー1: CSVが文字化けする
気象庁のCSVは Shift-JIS で出力されることが多く、Excel で直接開くと文字化けすることがあります。Excelで「データ」→「外部データの取り込み」→「テキストファイル」から、文字コードを「日本語(シフトJIS)」に指定して読み込むと正しく表示されます。Google スプレッドシートで開く場合はインポート時に自動判定されることが多いです。
エラー2: 「データなし」「//」が並んでいる
気象庁のCSVでは、観測されなかった日や欠測日は「//」「///」などの記号で表記されます。集計時にこれを数値として扱おうとするとエラーになるので、空欄に置換するか、IFERROR関数で除外する処理が必要です。
エラー3: 「平年値」と「年別値」を混ぜてしまう
ダウンロード画面で「年・月ごとの平年値を表示」にチェックを残したまま日別値をリクエストすると、結果に1991-2020年の平年値カラムが混ざります。集計時に平年値カラムを年別実績と勘違いして合計してしまう事故がよくあるので、ヘッダー行を必ず確認するクセを付けるのが安全です。
エラー4: 一度に取れる期間が長すぎてダウンロードが失敗する
気象庁のダウンロードページには「項目数 × 地点数 × 期間 × 日数」の合計上限があります(公表されていませんが体感では数万行が目安)。10年×全項目で取りに行くと「項目数を減らしてください」と表示されることがあるので、必要な項目だけ絞るか、5年単位で2回に分けて取得するのが現実的です。
気象データを使ったコンテンツの例
気象庁の公開データだけで、以下のようなコンテンツが作れます。当サイトでも各テーマで記事を書いています。
- 地域別の気温・降水量の長期トレンド分析 → 100年の気候変動
- 真夏日・猛暑日の増加可視化 → 東京の真夏日
- 桜開花日の早期化分析 → 桜の開花日が早まっている
- 短時間強雨の発生回数推移 → 東京の降水量パターン
- 豪雪地帯の積雪深ランキング → 日本の積雪量トップ10
- 梅雨入り・梅雨明けの統計分析 → 梅雨入り・梅雨明けの日付シフト
DATA SOURCE
気象庁「気象データ高度利用ポータルサイト」
気象庁「過去の気象データ検索」
気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」
よくある質問(FAQ)
Q. 気象庁のデータは商用利用できますか?
気象庁のデータは「政府標準利用規約」に準じて公開されており、出典明記により商用・非商用問わず利用できます。本記事のような解説記事、書籍、アプリ、研究論文、自由研究、いずれの用途でも問題ありません。ただし「気象庁の見解として表現する」「気象庁の許可・認証を受けたかのように記載する」のは禁じられているので、あくまで「気象庁の公表データを引用した」表現で書きます。
Q. APIキーは本当に必要ないのですか?
不要です。気象庁の天気予報JSON(例: https://www.jma.go.jp/bosai/forecast/data/forecast/130000.json)はURLを叩くだけで取得できます。ただし、業務用途で大量にアクセスする場合は「気象データ高度利用ポータルサイト」経由のオフィシャル取得窓口を使うのがマナーで、個人ユースでも秒間数十回のような連続アクセスは控えるのが推奨されます。
Q. 過去30年・全国全地点のデータをExcelに収めるのは現実的ですか?
Excelの行数上限(約100万行)を考えると、全国1300地点 × 365日 × 30年=1400万行となり、1枚のシートには収まりません。本格的な集計は、SQLiteやPostgreSQLなどデータベースを使うか、PythonのpandasやRで処理するのが現実的です。「東京1地点×30年」程度なら Excel/Googleスプレッドシートで十分対応できます。
最後に
気象庁のデータは無料・APIキー不要・出典明記で誰でも商用利用OKという、公的データとしてはかなりオープンな部類です。CSVを落として Excel か Google スプレッドシートに突っ込めば、地元の気温や雨量の長期トレンドを自分で集計できます。自由研究にも個人ブログにも実務にも使える素材なので、気象に興味があれば一度触っておいて損はないかと。
当サイトの記事はすべて上記の手順で取得・集計しています。「実際にどう使うとどんな記事になるか」は上の「気象データを使ったコンテンツの例」リンクから。
気象庁データの取り方・読み方を扱った関連記事は次の通りです。